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臨床心理士がユニオンはじめてみた「⑫都の教育長ってこういう方だったのですね」

令和6年2月28日に行われた東京都議会第一回定例会において日本共産党のアオヤギ有希子都議が、都SCについてとりあげてくださったと聞いて、都議会の動画を見てみたところ、驚きました。


都の教育長、なんて早口なんだ・・・。

あの早口に、手話通訳の方はついていけるのだろうか?

などと本筋とは関係ないことが気になったりしましたが、いやぁ、、、なんというか。

思わず「え!?」っと声を上げてしまった答弁がありましたので、アオヤギ都議の質問と、浜佳葉子教育長の答弁を文字に起こしてみました。

ちなみに浜佳葉子さんは小池百合子都知事が都議会の同意を得て任命し、令和4年4月1日から教育長の職に就いていらっしゃるようです。


都議会の動画が見たい方は以下のURLで見ることができるので、ぜひご覧ください。https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/live/video/240228.html

3時間47分ごろから質問、3時間58分ごろから答弁が見られます。


アオヤギ有希子都議による質問


スクールカウンセラーの大量雇止めが大問題になっています。

都のスクールカウンセラーは特別職非常勤として10年以上働いていた人も少なくありません。2020年度から会計年度任用職員制度に代わり任用の更新は4回まで。来年度の任用は公募だとして選考が行われ、実績のあるスクールカウンセラーが大量に雇止めされる事態になっています。

スクールカウンセラーは公立小中高等学校、特別支援学校に約1500人が配置されています。子供たちや保護者からの悩みに寄り添いながら時間をかけて支援する専門職で、高いスキルと経験が求められます。

相談者との信頼関係を築くことが必要であり、一朝一夕にはできない仕事です。「うちの子は不登校だけど、スクールカウンセラーの先生と約束している日は自分から学校にいけるんです」とお母さんが話してくれました。

スクールカウンセラーが果たしている役割をどう認識していますか?不採用、もしくは補充任用となったSCさんたちは、不採用となった理由がわからない、校長からもいい評価をつけたのにと言われた、理由が知りたいと口々におっしゃっています。

なぜ不採用になったのかわかるよう基準を明確にこたえてください。


SCは不登校の子を卒業まで支えたり、自傷行為のある子を教員、医療機関と連携して対応します。

長期の経験がその専門性の向上にとって重要であり子供たちの教育を受ける権利や、時には命を守る専門職です。だからこそ理由もわからず不採用にされたことは、専門職として全面否定された気持ちだとスクールカウンセラーさんたちは怒っています。

都教委にはスクールカウンセラーの専門性や経験をリスペクトする姿勢はないのですか。

子供たちにとって大きな不利益となります。子供たちは時間をかけて心を開き相談していたスクールカウンセラーとの関係を突然断ち切られ、新しく出会った人に自分のことをまた最初から話さなければなりません。子供たちへの大きな心の負担をどう思っているのですか。学校からもとても頼りになるスクールカウンセラーで良い評価をつけたのに、なぜ落とされたのかと疑問の声があがっています。

国の会計年度任用制度のマニュアルでは、公募の際にも前の任期における勤務実績を考慮して選考を行いその結果再度任用することは可能としています。学校での実績を反映させるべきではありませんか。5年ごとに切り捨てるような働かせ方は許されません。世田谷区は公募によらない再度任用の回数の上限は設けていません。回数については各自治体で決めればよいことだと思いますが、答弁を求めます。

スクールカウンセラーの雇用期限の撤廃をし、無期雇用とすることを求めます。

今回、理由もわからず不採用となったSCの皆さんの一番の願いは不採用の撤回です。

採用枠を増やして雇用することを求めます。


そもそも学校にはSCが足りません。SCの勤務時間は基本的に週1日7時間45分となっていますが、実際は時間内にはおさまらないと言います。

多くの相談予約が入る上、担任への報告は部活が終わってからなど12時間勤務が当たり前という方もいます。

現在SCは1校に週1日年間38日の勤務となっていますが、一定規模以上などの条件で週2日以上配置している学校が178校あることは重要です。必要とする学校にSCを追加配置することを求めますがいかがですか?

 

 

浜佳葉子都教育長による答弁

 

スクールカウンセラーの役割についてでございますがスクールカウンセラーは不登校やいじめ児童虐待等の未然防止、早期発見等、子供の悩みや抱えている問題の解決に向けて、心理の専門家として子供や保護者への支援及び教員への助言を行う重要な役割を果たしております。

次にスクールカウンセラーの選考についてでございますが、東京都公立学校スクールカウンセラーは都教育委員会が任用する会計年度任用職員であり東京都公立学校会計年度任用職員の任用等に関する規則等に基づき4回までは公募によらない再度任用として校長の勤務評価等により選考し5回目は公募により公平公正に面接を実施し選考しています。尚その際の選考基準につきましては東京都情報公開条例における人事管理にかかる事務に関し公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報であることから開示をしておりません。

次にスクールカウンセラーの選考結果についてでございますが、東京都公立学校スクールカウンセラーは都教育委員会が任用する会計年度任用職員であり、東京都公立学校会計年度度任用職員の任用等に関する規則等に基づき公平公正に選考を行っており選考結果についてはスクールカウンセラー個人の専門性や経験を否定するものではありません。

スクールカウンセラーによる相談についてでございますが都内公立学校においてはスクールカウンセラーを含む全教職員による教育相談体制を構築しておりスクールカウンセラーが交代しても子供たちが不安を感じることがないよう前年度までに行ってきた相談対応や支援等が確実に継続される仕組みとなっております。

次にカウンセラーの再度任用についてでございますが東京都公立学校スクールカウンセラーの任用にあたっては4回までは公募によらない再度任用として校長の勤務評価等により選考し5回目は勤務評価によらず公募により公平公正に書類審査及び面接を実施し選考しております。   

スクールカウンセラーの任用についてでございますが、東京都公立学校スクールカウンセラーは都教育委員会が任用する会計年度任用職員であり任用期間は4月1日から翌年の3月31日までとしております。なお4回までは公募によらない再度任用とし、5回目は雇用機会公平性(ここ、浜教育長は強調して読んでいたように思います)の確保の趣旨から公募による任用としております。

次にスクールカウンセラーの追加配置についてでございますがこれまで都教育委員会は学校や区市町村教育委員会からの要請を踏まえ児童生徒数が多く相談対応へのニーズが高い小中高等学校に対しスクールカウンセラーの勤務日数を増加して配置しており引き続きニーズに応じて配置をしてまいります。


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 上記の通り、浜教育長は「都内公立学校においてはスクールカウンセラーを含む全教職員による教育相談体制が構築されており、スクールカウンセラーが交代しても子供たちが不安を感じることがないよう前年度までに行ってきた相談対応や支援等が確実に継続される仕組みとなっている」と明言されました。

 私が「え!?」と声を上げたのはこの部分でした。


 SCが交代しても、前年度までに行ってきた相談対応や支援など確実に継続される仕組みとはいったい何をさすのでしょうか?「全教職員による教育相談体制が構築されている」という部分にも違和感はありますし、心理支援というものの性質が考慮されていないのではないかという疑問もありますが、シンプルに仕組みについて問いたいと思います。

 

SCの引継ぎには交通費を出せないからSCを学校に呼んで引継ぎしてはいけないことになってますよね?

新旧のSCが引継ぎを行う時間、場所、引継ぎの方法を各学校やSC任せにしていますよね?


都SCの配置校の決定は例年3月中旬以降でした。

令和6年度の都SC配置校の通知は3月25日に各SCの自宅に届きました。

もうすぐ新年度が始まるというときに配置校や配置校数が判明する、という状態は今回も変わりませんでした。

勤務校が変わるときには、管理職からSC同士でやりとりをするようにと新旧のSCが双方の連絡先を聞いてコンタクトを取り、直接会って引継ぎを行ったり、電話で引継ぎを行っているケースもあります。

この引継ぎ作業は勤務時間外に行われることも少なくありません。

双方のSCがそれぞれのプライベートな時間を使って引継ぎを行う際にかかる通信料、交通費などの費用は各SCが負担します。期せずして異動になった場合などはまったく引継ぎの準備をしていないため、勤務が終わっているのにも関わらず学校に行き、引継ぎ資料の作成などしなければならない、といった問題も生じかねません。


すべての学校の引継ぎがそのように行われているわけではないと思いますが、現行の「仕組み」ではSCが代わるときにはSCが無償奉仕として引継ぎを行っているケースも少なくない、というのが実態です。

すべてのSCがこのように他の仕事の時間を削ったりプライベートな時間を使って引継ぎを行うことができるわけではありません。SCとして関わっていた(これから関わっていくであろう)児童生徒や保護者、教員の方々のために丁寧な引継ぎが行いたくても、時間の都合でどうしても行えないSCも存在するのです。


そこで、SCが変わることによって影響を受ける可能性のある児童生徒、保護者や教員の方々に少しでも不安や戸惑いを感じずにSCによる心理支援を受け続けていただくためには、遅くとも3月初旬までに配置校を通知していただければと思います。

学校によっては、SCに代わって他の教員が引継ぎを行うケースもありますが、特に引き継ぐケースがなくても、その学校の雰囲気やSCがどのような仕事の仕方をしていたのかなど、やはりSCの仕事はSC同士で引継ぎを行った方が子供たちに不安を感じさせるリスクを少なくするような精度の高い引継ぎが行えると思います。

よって、すべてのSCが何かを犠牲にしなくても引継ぎを行えるような仕組みが必要だと思います。全教職員による教育相談体制が構築されているとしても、教員とSCは専門性も学校内での役割、立場も異なりますのでSCの業務を補完することはできないのではないでしょうか。


さて、浜教育長にお聞きしてみたいです。

どのような根拠に基づいて「全教職員による教育相談体制を構築しておりスクールカウンセラーが交代しても子供たちが不安を感じることがないよう前年度までに行ってきた相談対応や支援等が確実に継続される仕組み」とおっしゃったのでしょうか?

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