第二回東京都スクールカウンセラー労働実態調査からみる公認心理師・臨床心理士の比較検討
- 心理職ユニオン
- 6 時間前
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2021年実施アンケートの際は、回答702通のうち臨床心理士資格をもたず公認心理師資格のみを有していると回答した人は29人であった。一方で、今回(2024年3月実施)のアンケートでは回答者615人のうち臨床心理士資格をもたず公認心理師資格のみを有していると回答した人は108人と3倍以上増加している。
心理職業界やスクールカウンセラー業界の中で、臨床心理士資格から公認心理師資格への移行ないしは入れ替えが進んでいると捉えられる。国家資格である公認心理師資格制度ができて以降、当然予想されていることであったが、今後の心理職資格は公認心理師資格が主流となっていく流れの現象のひとつとして、本アンケートにおいても現れている。
本稿では、臨床心理士資格から公認心理師資格への移行に際して、臨床心理士資格者と公認心理師資格のみ有している者とでアンケート結果にどのような違いがあったのかを検討し、特徴的な結果が得られた項目について報告する。
※以下、臨床心理士資格を有している者を「臨床心理士資格者」、臨床心理士資格を有さず公認心理師資格のみ有す者を「公認心理師資格者」という。なお、その他の資格の有無については結果に含まれていない。
1 年齢の分布
臨床心理士資格者は40-44歳が一番多いのに比較して、公認心理師資格者は60-64歳、次に65歳以上が多い。他職種からGルートでの公認心理師資格の取得を経て、定年後にスクールカウンセラー勤務をはじめている人が多いのではないかと予想される。


2 臨床経験年数
公認心理師資格者の経験年数は1年未満が8%、1~5年が64%であった。一方、臨床心理士資格者は10~15年が26%と一番多く、次に5~10年21%、15~20年20%と続いている。臨床心理士資格者の方が臨床経験の長い人が多いことがわかる。


3 都SCの経験年数
都SCの経験年数も公認心理師資格者は1年未満および1-5年が93%である一方、臨床心理士資格者は5-10年27%、10-15年27%、15年以上18%と、経験年数が長い。


4 専門性意識の違い
問18に着目すると、「スクールカウンセラーの知識と技能は、校内の他の専門職種とは異なる」という質問に対し、公認心理師資格者は108人中「あまり当てはまらない」「全く当てはまらない」と回答した人が8名いた(7.4%)。一方、臨床心理士資格者は508人中8人と(1.5%)にとどまっている。


問18-2「スクールカウンセラーの役割は、他の職種(例えば教員)との兼務は難しい」という質問に対し、「どちらとも言えない」(20人)「あまり当てはまらない」(3人)「全く当てはまらない」(2人)と回答した公認心理師資格者が合計25人、割合としては23%であった。一方、臨床心理士資格者は「どちらとも言えない」(30人)「あまり当てはまらない」(10人)「全く当てはまらない」(8人)の回答の合計が48人、割合として10%程度であった。


以上です。お読みいただきありがとうございます。



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