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臨床心理士がユニオンはじめてみた 「⑨2月2日の記者会見 石山さん(仮名)の言葉」

今回も引き続き、2024年2月2日に行われた東京都スクールカウンセラー大量雇止めについての記者会見でお話された石山さん(仮名)の思いを紹介させていただきます。

会見で思いを語ってくださった5名の方の言葉は、東京都スクールカウンセラーだけでなく、心理職全体の雇用の問題を提起してくださっており、多くの方々に知っていただき、次の一歩に繋げていきたいと思っています。






 






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私は、某区の教育相談室で教育相談員を5年半、そして、東京都公立学校スクールカウンセラーとして小学校に勤務してから5年目となります。よろしくお願いいたします。

 

これまでスクールカウンセラーとして相談を受け、関わってきたケースは、発達の特性から集団活動への適応に難しさを抱えている児童、家庭環境の問題が影響し情緒的な問題に発展していると思われる児童、学習面に課題を抱える児童、背景にある要因は様々ではあるものの不登校になった児童等、多岐に渡っています。

児童の授業見学を含めた行動観察、各教員の方々との情報収集や情報共有、教員の方々へのコンサルテーション、保護者との面接等々を継続しながら、難しいケースも含め、抱えている課題の解決に向けて、真摯に向き合い、包括的、かつ能動的な姿勢で支援に努めております。

課題解決のために、工夫と配慮が必要と思われる児童については、学校内委員会において管理職や教員の方々と共に検討し、特別支援教室への入室を保護者(場合によっては児童本人も含む)に丁寧に説明し、勧めるなどの対応を取ってきました。

自身が教育相談員として勤務している関係で、頻繁に知能検査の実施・所見作成を行っていることから、管理職を含む教員の方々と保護者に対し、学校生活と関連づけながら丁寧に解釈・説明をすることで、当該児童に対する理解を深めることにつながるサポートを行っております。知能検査の解釈については、管理職を含む教員向けにスクールカウンセラーから研修を実施したり、自身が自費で外部の研修に参加し学んだ内容を適宜、教員に情報提供もしてきました。

児童・保護者へは、定期的にスクールカウンセラーだよりを配布し、また、児童に対しては、心理教育を実施し、困ったときの対処法やスクールカウンセラーに相談しやすい雰囲気づくりにも努めてきました。

児童や保護者とのカウンセリング等の関わりの一方で、必要に応じて特別支援教育、教育相談、福祉や病院へと支援をつないできました。

それぞれかかった月日や年数には差があるものの、集団の中での学習や活動が可能となったり、対人面についての成長も見られるようになる児童も多く、前向きな結果や成果が見られています。

面接回数については、全38回の勤務日には、平均して約8件の保護者面接、または児童との面接を実施し、年間では約300回の面接に応じております。

勤務日は常に児童または保護者との面接(カウンセリング)で常に予約でいっぱいであり、昼休みも使って、面接をこなしてきました。たまに面接が入らない時間はアセスメントのために授業見学でできるかぎり多くの教室を巡回し、また、児童の下校後は、教員とのコンサルテーションに時間を費やし、文字通り分刻みでエネルギーを注ぎ、精力的に活動してきました。

勤務時間は、7時間45分と決まってはいましたが、常に無報酬で長時間労働をこなさざるを得ない状況で、児童や保護者、学校のためにできる限りの支援をしていきたい一心で務めてきました。

勤務初年度から3年間お世話になった校長先生からは、「これほどあらゆる面で動いてくれるスクールカウンセラーに出会ったのは初めてです。」というお言葉をいただきました。また、現勤務校の管理職や、各教員の方々からは、高い評価のお言葉をいただいております。保護者の方々からも、面接を繰り返しながら継続的に支援をさせていただいた結果、児童に前向きな変化が見られるようになったことで、直接、感謝の言葉をいただいております。


今回会計年度任用職員制度の5年更新に伴う約20分間の採用面接を受けました。

採用面接での質問については明確な記憶はないのですが、「特性や問題のある子どもをそのように把握するか」、「外部機関との連携について」、「いじめの被害者から誰にも言わないでほしいと言われた時のSCの対応について」等だったと思います。

-スクールカウンセラーとして、児童の授業見学や休み時間の様子、あるいは、行事に参加し、直接見学することで見られる児童の様子などの行動観察、保護者との面接、教員(支援員を含む)からの情報、場合によっては、病院等の外部機関で受けた知能検査の結果も含めて総合的に判断していくと、答えたと思います。

-いじめの被害者から誰にも言わないでほしいという相談を受けた際については、まずは管理職に詳しい内容は伝えずとも、当該案件の相談を受けたことを報告し、SCとしての対応方法を伝え、その後の方針を確認します、と答えたと思います。

 

そして、今回、突然不合格という通知が届きました。そこには、理由は書かれておらず、「選考結果に関する内容についての問い合わせにはお答えすることができません。」との一文が書かれておりました。

20分ほどの面接で、これまでの実績をどのように評価しているのか、どのような採用判断基準であったのか、先にお話させていただいた自身の実績の評価が全く考慮されずに不合格という判断が下されたということは、これまで結果を出してきた自身のスクールカウンセラーとしての職務を完全に否定されたということになり、全く理解できず、納得できません。勤務校の校長先生からは、「何とかならないのか?都教との再面接の機会はないのか?」と言われました。

時間をかけて関係づくりをしながら、支援してきた多くの児童とその保護者の気持ちを大きく動揺させることになります。同時に学校という組織の一員という立場も持つスクールカウンセラーが突然失職することで、学校全体にも悪影響が及ぶと考えます。

スクールカウンセラーという仕事は、困っている子どもと保護者、同時に学校という組織に対し、心の専門家として関わっていく仕事であり、短期で解決するものではなく長期的視点でかかわって行く支援です。よって、雇用形態が安定した状態の上で、長期的視点を持ちながら、助けを必要としている子どもや保護者に真摯に向き合い、解決への道を共に探りながら伴走する仕事だと思います。

 

自身の失職について言わせていただくと、教育相談と東京都SCとで併せて生計を立ててきております。生活への影響は多大です。

 不合格となった理由の開示、さらに、自身の実績を踏まえ、再度勤務校の管理職に確認していただくという対応をとっていただいた上で、継続を強く求めます。

 

以上となります。何卒宜しくお願い申し上げます。           

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